
個人が、不動産を売却して損失出た人。が「マイホームが思った値段で売れなかった。税金の優遇などあるの?マイホームを買い替えたけど損失が出た。しかたなくマイホームを売却したけど住宅ローン残った状態でこれからが心配。制度が使えるなら具体的におしえてほしい。』
こんな質問に答えます。
✔ 今日のテーマ
不動産を売却して損失が出た場合に適用することができる税の優遇措置がわかります。
不動産を売却した経験はありますか?私は結婚した当初購入した戸建てを売却した経験があります。
「買ったときと同じ値段くらいでうれるなら理想だ」みたいな甘い考えで売却準備を進めて売りに出したんですが、最終的な売却価格は数百万円下げた価格で契約に至りました。
理想と現実ではないですが、売主の方の中でも「不動産取得価格よりも安い値段でしか売れなかった」かたもいらっしゃると思います。
そんな時でも使える特例がありますので解説します。
ケーススタディ

平成20年に4,000万円で買ったマイホームが今年2000万円で売れた。ローンの残債がまだ2700万円残ってる・・・
この場合はどうなるの?
はい、計算してみましょう。数字はわかりやすく端数を揃えておきます。
譲渡所得の計算
譲渡所得の計算をすると、
①2,000万円ー4000万円(取得費合計)ー80万円(譲渡費用)=ー2,080万円
2080万円の譲渡損失が出たことが分かります。
売却金額からローン残債を引くと
②2,000万円ー2,700万円(ローン残債)=-700万円
700万円の差額が出ることが分かります。
①と②を比較したときに、
ー2,080万円>-700万円
小さい額の700万円が損益通算できる金額となります。
700万円が他の所得と損益通算ができる
売主が所得600万円 所得控除額160万円 所得税が年額772,500円と仮定して・・・
2020年所得税の計算
2020年度中の所得と損益通算します。
600万円-700万円=―100万円
これにより所得がマイナスとなり、所得税がかかりません。(所得税額772,500円が還付されます)
そして―100万円は2021年に繰り越しされます。
2021年度所得の計算
2021年度は昨年のマイナス分100万円を控除します。
600万円ー100万円ー160万円=340万円
340万円が所得税課税価格となり、払いすぎた差額520,000円が還付されます。
適用要件は?
適用を受けるためには当然定められた要件があります。
- 自分が住んでいた家を譲渡したこと。もしくは住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること。
- 親族などへの譲渡ではないこと。
- 譲渡の年の1月1日における所有期間が5年を超えるマイホーム(譲渡資産)で日本国内にあるものの譲渡であること。
- 災害によって滅失した家屋で当該家屋を引き続き所有していたとしたら、譲渡の年の1月1日において所有期間が5年を超える家屋の敷地の場合は、その敷地を災害があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで(住まなくなった家屋が災害により滅失した場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで)に売ること。
- 譲渡したマイホームの売買契約日の前日において、そのマイホームに係る償還期間10年以上の住宅ローンの残高があること。
- マイホームの譲渡価額が住宅ローンの残高を下回っていること。
また建物を取り壊してから売却することもあります。その場合は下記の条件をすべて満たすことが必要です。
- 〇 取り壊された家屋及びその敷地は、家屋が取り壊された日の属する年の1月1日において所有期間が5年を超えるものであること。
- 〇 その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
- 〇 家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと。
これらが適用の条件となります。よっぽどのことがない限りほとんどの方が当てはまるのではないでしょうか?私の場合は住まなくなってから賃貸に出し、その後売却したため適用除外でした。
特例が適用できない条件
- 繰越控除が適用できない場合
合計所得金額が3,000万円を超える年がある場合は、その年のみ適用できません。 - 損益通算及び繰越控除の両方が適用できない場合
- 親子や夫婦など特別の関係がある人に対してマイホームを売却した場合
特別の関係には、このほか生計を一にする親族、家屋を売却した後その売却した家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係にある法人なども含まれます。 - マイホームを売却した年の前年及び前々年に次の特例を適用している場合
- 居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の軽減税率の特例
- 居住用財産の譲渡所得の3,000万円の特別控除(被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例を除きます。)
- 特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例
- 特定の居住用財産を交換した場合の長期譲渡所得の課税の特例
- マイホームを売却した年の前年以前3年以内の年において生じた他のマイホームの譲渡損失の金額について、特定のマイホームの譲渡損失の損益通算の特例を適用している場合。
- マイホームを売却した年又はその年の前年以前3年内における資産の譲渡について、マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例の適用を受ける場合又は受けている場合。
- 親子や夫婦など特別の関係がある人に対してマイホームを売却した場合
コメント
1.の場合、所得金額が3,000万円を超えるかたは、相当お金持ちですね。収入金額ではないので。
2.の場合は、難しそうなことがたくさん書いてありますが、2~3年の短いスパンでマイホームを売ったり買ったりして利益が出た!損失が出た!といっても、全ての特例を使うわけにはいきませんよというところでしょうか。
特例を受けるための手続き
損益通算をする場合、確定申告を行います。その時に必要になる書類は以下です。
- 「特定居住用財産の譲渡損失の金額の明細書(確定申告書付表)」
- 「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書(租税特別措置法第41条の5の2用)」
- 売却したマイホームに関する登記事項証明書や売買契約書の写しなどで所有期間が5年を超えることを明らかにするもの。
- 「譲渡資産に係る住宅借入金等の残高証明書」(売買契約日の前日のもの)
繰越控除の場合
- 損益通算の適用を受けた年分について、上記の全ての書類の添付がある期限内申告書を提出したこと。
- 損益通算の適用を受けた年分の翌年分から繰越控除を適用する年分まで連続して確定申告書(損失申告用)を提出すること。
繰越控除は一回損益通算の手続きを行えば難しくなさそうですね。
最後に
給与所得のみの方は自分で確定申告する事は稀だと思います。ですが住宅を購入した時にローン控除などの手続きで確定申告をされたのではないでしょうか?わからないことがあれば税務署に問い合わせれば優しく教えてくれます。特例が使えそうな方はぜひチャレンジしてみてください。



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